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アルザスの暮らしの味──ベックオフとタルトフランベ

アルザス最終日、やり残したこと

そしてアルザス最終日。

午後からは次の目的地パリへ移動するが、

まだやり残したことがあった。

食べてみたかったアルザス料理、

タルトフランベ、ベックオフ、シュークルート。

このうちシュークルートは前日に食べている。

残るはベックオフとタルトフランベだ。

ホテルをチェックアウトし、

出発時間までスーツケースだけを預かってもらう。

身軽になって、最後のレストラン探しへ向かった。

街の広場では、

アルザスの民族舞踊の

パフォーマンスをやっていた。

これもまたドイツの匂いを感じた。

しばらく歩くと、

目ぼしいレストランを見つけた。

店の外に立っていたスタッフに、

スマートフォンに保存していた

ベックオフの写真を見せて尋ねてみる。

……あるらしい。

思わず小さくガッツポーズ。

地ビールで喉を潤しながら、料理を待つ。


ベックオフとは

ベックオフ(Baeckeoffe)は、

アルザス地方の家庭料理だ。

豚・牛・羊など数種類の肉と、

じゃがいも、玉ねぎを白ワインでマリネし、

陶器の容器に詰めてオーブンでじっくり火を入れる。

かつては主婦たちが日曜の朝に仕込み、

パン屋に預けて、

パンを焼く余熱の窯でゆっくりと火を通してもらったという。

名前の由来も「パン屋のオーブン(Baecke)」。

祝いの料理というより、

生活の中から生まれた滋味深い一皿だ。

運ばれてきたのは、

スフレンハイム陶器と思われる、使い込まれたココット。

パン生地で封はされていないが、

その佇まいがとても良い。

食べてみる。

美味しい……が、

一言で言えば「フランス風の肉じゃが」

日本で作ったレシピよりも、

ずっと素朴で、飾り気がない。

だが、ベックオフという料理の成り立ちを考えると、

この味わいがとても腑に落ちる。

これは「ごちそう」というより、

「暮らしの味」なのだ。

ちなみに街の陶器屋で

スフレンハイム焼きのココットを2つ購入した。

そして、これを持ってフランスを一周することになる。

割れないように持ち運ぶのは、

なかなか骨が折れた・・・。


アルザスの日常食、タルトフランベ

レストランを出て少し歩くと、

タルトフランベのテイクアウト専門店があった。

タルトフランベは、

極薄の生地に白チーズ、玉ねぎ、ベーコンをのせて焼き上げる

アルザス風のピザだ。

レストランやカフェでも出されるが、

専門店があるほど、この地方では日常的な料理らしい。

ランチを食べたばかりだが、

アルザスでの滞在時間は残りわずか。

食べてみない、という選択肢はない。

軽食だし、最悪パリへの移動中に食べればいい。

注文すると、釜で一枚ずつ焼いてくれる。

本格的だ。

店の若い男の子と少し会話を交わす。

彼は日本のアニメ『ドラゴンボール』が好きだと言う。

こんなところでも、日本の影響力を実感する。

そして、釜から出てきたタルトフランベを見て仰天した。

大きい!!

ピザのLサイズほどある。

値段を見た時点で、嫌な予感はしていたが(笑)

大きさを確認しなかった自分が悪い。

さっそく食べてみる。

極薄の生地の軽やかな食感。

ベーコンのコク、玉ねぎの甘味、白チーズのほどよい酸味。

イタリアのピザとはまったく違う、美味しさだ。

しかし、とにかく大きい。

結局、この巨大なピザ箱を抱えてパリまで移動することになった(笑)

そして、パリ到着後の夕食として、無事に完食。

憧れのアルザスは、

特別な観光地があるわけではないが、

静かに魅力が積み重なる街だった。

今回は2泊だったが、

コルマールやワイン街道をじっくり回るなら、

最低でも3泊は欲しい。

そして現地を訪れたことで、

食べてみたい料理も、作ってみたい料理も、

確実に増えてしまった。

またここを訪れる理由が、ひとつ増えた。

日本のレシピ本で作ってきたものは、

決して間違ってはいなかった。

ただ、現地の料理はもう一段階、削ぎ落とされている。

「料理として完成させる」よりも、

「暮らしの中で食べ続けられてきた味」に近い。

それなら、日本で手に入る食材と道具で、

どこまでこの感覚に近づけるのか。

現地で食べた記憶を頼りに、いずれ作り直してみることにしたい。

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