本場ナポリピッツァを食べて思ったこと
──「正解」は土地にある
ナポリを訪れた最大の目的は、本場のナポリピッツァを食べることだった。
日本でも「ナポリピッツァ」を名乗る店は多い。
だが、本場で食べたら何が違うのか。
それを自分の舌で確かめてみたかった。
訪れたのは、創業130年以上の老舗「ダ・ミケーレ」。
昼前にもかかわらず、店の前には長い行列ができていた。

40分ほど並び、王道のマルゲリータを注文。
ちょっとした行き違いでテイクアウトになってしまったが、向かいの店のテラス席を借りて食べることができた。
箱を開けて、まず驚く。
とにかく大きい。
そして、生地の存在感が強い。

一口食べて、さらに驚いた。
モチモチ、というより、むっちり。
水分をしっかり含んだ生地が、噛むたびに主張してくる。

トマトソースの酸味も、モッツァレラのコクも申し分ない。
だが、主役は間違いなく生地だった。
日本で食べるピッツァとは、方向性が違う。
良い悪いではなく、まったく別の完成形だ。
食べ進めるうちに、こんなことを考えた。

「これを、そのまま日本で出したら、どう評価されるだろう?」
量は多い。
味も直線的で、繊細さとは別ベクトル。
日本人の感覚だと、少し重いと感じる人も多いかもしれない。
だが、ここはナポリだ。
強い日差し。
乾いた空気。
生活に根ざした小麦文化。
その土地の前提条件がすべて揃って、このピッツァは完成している。
そう考えると、日本で独自に進化してきたピッツァにも自然と納得がいった。
日本の職人たちは、日本の気候、日本人の舌、日本の食事の流れに合わせて、最適化してきたのだ。
どちらが本物か、という話ではない。
どちらも本物だ。
「正解」は、土地にある。
ナポリピッツァは、そのことをとても分かりやすく教えてくれた。

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