午後のシャトー訪問とテイスティング

午後に訪れたのは、シャトー・オー・パージュ・リベラル。
ポイヤック地区にある、1855年メドック格付け5級のシャトーだ。
1855年のメドック格付けは、パリ万博に合わせて制定された公式格付けで、現在もワインの評価基準として強い影響力を持っている。
このシャトーはオーガニック栽培に力を入れている。
特に驚いたのは、カモミールなどの薬草を大鍋で煎じ、それを畑に撒いているという話だ。

病気が出る前に葡萄の免疫力を高めるためだという。
漢方で言う「未病」の考え方に近い。
アッサンブラージュとテイスティング体験

製造工程を見学し、貯蔵タンクの前でボルドー特有の「アッサンブラージュ」について説明を受けた。
ボルドーでは、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなど複数の品種をブレンドする。
それぞれの年の出来を見極め、最適な比率を決めることで、安定した品質と複雑さを生み出すのだ。
熟成庫に並ぶ無数の樽を目の前にすると、自然と背筋が伸びる。
そして、いよいよテイスティング。
1stラベルと2ndラベルの飲み比べ、さらに2019年、2015年、2011年という異なるヴィンテージの飲み比べを行った。
最も熟成の進んだ2011年は、ボルドー特有の湿った森や土を思わせる香りが強烈だった。
個人的には、2015年が最もバランスが良く感じられた。
ワインを1本購入し、シャトーを後にする。
見学させてもらったらワインを買う。これは暗黙のマナーだ。
シャトー・デミライユとスタイルの違い

続いて訪れたのは、シャトー・デミライユ。
1855年メドック格付け3級のシャトーで、南寄りのマルゴー地区に位置する。
ここで迎えてくれたマダムは、日本に住んでいた経験があるそうで、日本語がとても流暢だった。
ここでも製造から熟成までを見学する。
メドック地区では、北に行くほど力強く男性的なワイン、南に行くほどエレガントで女性的なワインになる傾向があるという。
また近年は、果実味があり、比較的早く飲めるスタイルのワインへの需要が高まっているそうだ。
カヌレに繋がるワインの話

さらに興味深い話を聞いた。
ワインを澄ませる工程で、昔は卵白を使っていた。その結果、卵黄が大量に余る。
そこから、カヌレのような卵黄を使った菓子が生まれたという。
この話を聞き、翌日駅でカヌレを買ったのは言うまでもない。
ここでもテイスティングを行い、特に気に入ったロゼを1本購入した。
旅の余韻、そして次の街へ
こうしてシャトー巡りは終了し、ボルドー市街へ戻る。
夕方のミロワール・ドーは、昨日とはまったく違う表情を見せていた。
静まり返った水面に映る街並みは、息をのむほど美しい。

ホテルへ戻る途中のレストランで夕食をとる。
昼のフォアグラが忘れられず、ここでも注文してしまった。
メインのマグレ・ド・カナールは少し焼きすぎだったが、それもまた旅の一部だ。
明日は南仏マルセイユへ移動する。
長い旅程も、いよいよ終盤だ。
名残惜しさを感じながら、ホテルへの帰路についた。

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