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シチリア(8)シチリア最後の食卓と、市場の朝 ――余韻を連れてローマへ

シチリア最後のディナー

シチリア3日目。

アグリジェントから列車でパレルモに戻ると、すっかり夕方になっていた。

早いもので、これがシチリア最後のディナーだ。初日に訪れた、新市街にあるトラットリア・ジア・アンナへ再訪する。

案内スタッフも覚えていてくれて、にこやかに迎えてくれた。

シチリアで最後に食べておきたい料理があった。「魚介のクスクス」だ。シチリアの郷土料理が充実したこの店には、もちろんメニューに載っている。


前菜はフリット・ミスト(揚げ物の盛り合わせ)

エビ、イカ、ヒシコイワシのフリットにレモンを絞っていただく。衣が軽く、いくら食べてももたれない。中でもヒシコイワシが気に入った。

続いて、昨日に引き続きカジキのグリル。大きな切り身が、豪快にドンと出された。

——こういうのが食べたかった。

こちらもレモンを絞り、シンプルにいただく。香ばしく焼かれたカジキは、噛むと脂がジュワッと滲み出る。

このダイレクトな美味しさは、やはりここでしか味わえない。


そして、最後に魚介のクスクス。

魚介の濃厚なスープ(スーゴ)をかけながら食べるスタイルだ。

実はこの料理、以前レシピ本を見て作ったことがある。今回は、その答え合わせがしたかった。

スーゴの味は、南仏のスープ・ド・ポワソンを、トマト寄りに振ったような印象。それをたっぷり吸ったクスクスが、実に美味い。

——自分の作った魚介のクスクスは、間違っていなかった。

思わず心の中でガッツポーズをする。


夜のローマ通りを歩きながら

満腹のまま、ホテルへの帰路に着く。

明日は国内線でローマへ移動する。

あっという間だったシチリアでの滞在。その余韻に浸りながら、夜のローマ通りを歩いた。


出発前に、もう一つの市場へ

翌朝。

この日は夕方の便でローマへ向かう。


シチリアでの滞在も、いよいよ最後だ。

出発までは、まだかなり時間がある。


パレルモ中央駅のバスターミナルから空港行きのシャトルバスが発着している。駅構内の手荷物預かり所にスーツケースを預け、最後に街へ出掛けることにした。


最後の食事はどうするか迷ったが、やはり市場だろう。

パレルモ三大市場のうち、まだ訪れていないカーポ市場を目指す。


カーポ市場という中庸

Googleマップを頼りに歩くが、場所はやや分かりにくい。

付近に着くと、まず衣料品店がずらりと並ぶ。レモン模様や幾何学模様の原色の生地が並ぶ路地は、実に絵になる。

しばらく進むと、食料品店や簡易的なレストランが軒を連ねる通りに突き当たった。買い物客は多いが、ヴァッラロほど騒がしくはない。ヴァッラロとヴッチリアの、ちょうど中間のような雰囲気だ。

真っ赤な唐辛子、頭ごと並べられた大きなカジキ。ピスタチオ、ドライフルーツ、スパイス。

ここにも、シチリアが丸ごと詰まっている。


シチリアの味を、もう一度

目ぼしい店を見つけ、店先に並ぶ料理から好きなものを選ぶ。


カジキのインボルティーニ(串焼き)、

ピスタチオのパスタ、

オレンジのサラダ。


オレンジのサラダは、果肉と赤玉ねぎ、緑オリーブをオレンジの皮に盛り付けた一品。

「余計なことはしない」を体現したような味わいだ。

あまりに気に入って、日本に帰ってからも何度か作った。


カジキのインボルティーニは、パン粉、松の実、レーズンなどのフィリングを巻いたもの。

例の「シチリア味」だ。

付け合わせのカルチョフィ(アーティチョーク)も、なかなかの大盤振る舞い。


そしてピスタチオのパスタ。

濃厚なピスタチオクリームをまとったパスタが、丸ナスをくり抜いた器に盛られている。

惜しげもなく使われたピスタチオ。

さすが名産地だ。


……ただし、40代には少々ヘビーだった(苦笑)。


余韻を連れて、ローマへ

かなり満腹になり、カーポ市場を後にする。


パレルモ中央駅からシャトルバスに乗り、空港へ。

搭乗手続きを済ませ、機内へ乗り込む。


滑走路の向こうには、切り立った山と、その先に広がる海。

シチリアで過ごした時間を反芻しながら、ローマへと発った。

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