始発列車でパレルモ中央駅を出発
シチリアへ来て、早くも3日目。
今日は朝からアグリジェント遺跡へ向かう。
始発列車に乗るため、まだ辺りが暗いうちにホテルを出た。

パレルモの街は、昼や夜の喧騒とは別人のように静かだ。昨夜までの熱気が、嘘のように引いている。
アグリジェントまでは、トレニタリアの地方路線・レジョナーレで約2時間半。ガイドブックには駅の利便性についてあまり良いことが書かれていなかったため、念のため日本で往復チケットを手配しておいた。

シチリアを横断する車窓
列車は、パレルモを発ち、シチリア島を南へ横断していく。
最初は海沿いだった景色が、次第に山間部へと変わっていく。
ところどころに小さな村が見えるが、失礼ながら
「ここで、どうやって生活が成り立っているのだろう」
と思ってしまうほど、辺境感がある。
多くの駅で停車するが、乗り込んでくる乗客はほとんどいない。
アグリジェント中央駅に到着
しばらくすると、突然、高層ビルや高速道路が視界に入ってきた。
ほどなくして、アグリジェント中央駅に到着する。
正直、山間のオンボロ無人駅を想像していたので、立派な駅舎に完全に意表を突かれた。

ここから神殿の谷までは徒歩で向かう。
西側のジュノーネ・ラチニア神殿方面を目指し、約50分ほどだ。道中も含めて楽しみたいので、あえてバスは使わなかった。
不意打ちの地中海
駅から少し歩くと、街並みの隙間から、突然、真っ青な地中海が姿を見せる。

こんなにも海の近くだとは思っていなかった。完全に不意打ちの絶景だ。
坂道の多い街を30分ほど歩いたところで、神殿の谷が、唐突に視界に飛び込んできた。

「えっ……これ、全部?」
オリーブやアーモンドの木が生い茂る広大な谷に、神殿が点在している。
文字通りの「神殿の谷」だった。
入り口までの長い道のり

遠くにジュノーネ神殿を眺めながら、白やピンクの花々が咲く道をさらに20分ほど歩く。
ようやく、神殿の谷の入り口に到着した。
観光バスが何台か停まり、観光客もそこそこいる。
とはいえ、混雑というほどではない。

チケットを購入し、敷地内へ入る。
神殿の谷を歩く
ジュノーネ神殿は、神殿の谷でもっとも高い場所にある。

ここから入場すると、他の神殿までは緩やかな下り坂になるため、体力的にも楽だ。
ジュノーネ神殿から、
コンコルディア神殿、
ヘラクレス神殿、
ゼウス神殿、
ディオスクロイ神殿へ。
特に印象に残ったのは、ほぼ完全な形を残すコンコルディア神殿だ。そのスケールには、理屈抜きで圧倒される。そして神殿の前に横たわる巨大な像が謎すぎた。
ヘラクレス神殿は石柱しか残っていないが、その名に相応しい力強さだ。
ゼウス神殿、ディオスクロイ神殿は、ほとんど原型を留めていない。イメージイラストを眺めながら、ここに壮大な神殿が建っていた姿を想像する。



神殿の谷には、真夏のシチリアの日差しを遮るものはほとんどない。
正直、なかなか過酷だ。
それでも、遠くに見える真っ青な地中海と、神殿のコントラストを眺めながら歩いていると、不思議と苦にならない。
途中には売店やトイレもあり、適宜休憩を挟めるのもありがたい。
帰りは考古学博物館側の入り口から外に出たが、バスが見当たらなかったので、ポルタ・クイントの駐車場からタクシーを使った。
アグリジェント旧市街を歩く
一旦、中央駅へ戻り、午後はアグリジェントの旧市街を散策する。
駅を挟んだ反対側。道路を渡り、坂道や階段を上ると、旧市街の入り口に辿り着いた。

想像していたよりも、ずっと大きな街だ。
神殿の谷を歩き回って空腹だったため、メインストリート沿いの店で昼食をとる。
ショーケースから、パネッレとアランチーノを選び、シチリアの地ビール「メッシーナ」を合わせる。

食前の一杯が、身体に染み渡る。
パネッレはバンズに挟んで提供されたが、そのボリュームに驚く。しかも安い!
丘の上の大聖堂

再び旧市街を歩き、街で一番高い場所にあるアグリジェント大聖堂を目指す。
狭い路地と階段が続く。
人通りは少なく、街は驚くほど静かだ。
路地にかかる白い洗濯物が、この街の日常を静かに語っている。
大聖堂に辿り着くと、見晴らしの良さに思わず足を止めた。しばらく景色を眺めながら休憩する。



サント・スピリト修道院の伝統菓子
次に向かったのは、サント・スピリト修道院。
修道女たちが作るシチリアの伝統菓子で知られる場所だ。
インターホンを鳴らすと、静かで薄暗い部屋に通される。


穏やかなシスターを想像していたが、出てきたのは、やや迫力のある一般女性(笑)。口調も、なかなか強めだ。
クスクス・ドルチェ
アーモンド菓子
ピスタチオ菓子
フルーツ入りの菓子
迷いながらいくつか選んだ。
翌日ホテルで食べたが、どれも甘さ控えめで素朴な味わいだった。クスクスがスイーツになるのは、新鮮な驚きだ。

そして、夕方になり再びパレルモへ戻った。
この日の夜と、翌朝の出発前には、シチリア料理をもう少し食べ歩くつもりでいる。


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