旅の終わりは、チケット探しの「迷宮」から
ヴェネツィア最終日の朝。
今日はイタリアを離れ、次なる目的地、ドイツのフランクフルトへ向かう予定だ。
まずはホテルで、マルコ・ポーロ空港行きのヴァポレット(水上バス)のチケットについて調べる。オンライン購入は可能だが、結局は運行会社の窓口で実券を受け取らなければならないらしい。
ここで一つ注意が必要なのが、運行会社の違いだ。
ヴェネツィアには「ACTV(アクティーヴィ)」と「アリ・ラグーナ(Alilaguna)」の2社があるが、空港直行便を出しているのはアリ・ラグーナ社のみ。
ところが、この窓口が驚くほど見つからない。小雨が降る中、サンタ・ルチーア駅前やローマ広場といった主要な場所を歩き回るが、一向に見当たらない。結局、カナル・グランデ(大運河)沿いまで足を伸ばしてようやく発見。ヴェネツィアは最後まで「迷宮」として楽しませて(苦しませて?)くれる。


雨宿りのレストランで見つけた、贅沢すぎる「最後の晩餐」
乗船予定のグーリエ停留所へ向かうが、出発まではまだかなりの時間がある。
降り続く雨を避けるため、ふらりと路地裏のレストランへ逃げ込んだ。
景気づけに大ジョッキのビールと、市場で見て以来、心に決めていた「スカンピのグリル」を注文。

運ばれてきた皿を見て、思わず絶句した。なんと立派なスカンピが5尾も並んでいる。
日本では一尾でそれなりの値段がする高級食材だが、リアルト市場で見たあの「山積み」を思えば、このリーズナブルな価格にも合点がいく。これぞ産地の特権だ。
「頬が落ちる」とはこのこと。鮮度が生む究極のグリル

豪快に縦半分にカットされたスカンピに、シンプルにレモンを絞る。
絶妙なレア気味の焼き加減は、鮮度への自信の表れだろう。
一口食べれば、身はジューシーで驚くほど甘い。そして特筆すべきはミソの旨さだ。香ばしく、どこまでも濃厚。「頬っぺたが落ちる」という表現は、まさにこの一皿のためにあるのではないか。
そのあまりの美味しさに、気づけばビールの大ジョッキをもう一杯おかわりしてしまっていた。
遠ざかる水の都、そして空へ
幸いにも雨が上がり、停留所へ向かうと程なくしてアリ・ラグーナ社の水上バスがやってきた。念のため乗務員に行き先を確認し、いよいよ乗船。

水上バスは島の外周をゆっくりと回り、いくつかの停留所を経て、やがて広大な外海へと滑り出す。
さっきまで歩いていたヴェネツィア本島が、みるみるうちに小さくなっていく。美しい街並みが遠ざかる寂しさを感じつつも……。

……実は、乗船前の「大ジョッキ2杯」がここにきて響いていた。
空港までの約50分間。揺れる船内での戦いは、ある意味この旅で一番の試練だったかもしれない(笑)。
さらばヴェネツィア。次は、ドイツの空が待っている。

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