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ヴェネツィア(1)〜水の都への長い旅路と、本場で知った「真のイカスミパスタ」

海を渡る特急列車、いざ「水の都」へ

カプリ島を今朝出発し、ナポリ中央駅から特急列車「フレッチャロッサ」に揺られること約4時間。

ローマ、フィレンツェ、ボローニャと主要都市を駆け抜け、列車はいよいよヴェネト州へ。

ローマ以降はほぼ満席で、二等車の4人掛け座席はなかなかの窮屈さだ。長距離移動の際は、迷わず一等車を選ぶことを強くお勧めしたい。

ヴェネツィアの玄関口、メストレ駅を過ぎると車窓の景色は一変する。

本土と島を繋ぐ「ポンテ・デッラ・リベルタ(自由の橋)」だ。

突如として視界が開け、一面の海が目に飛び込んでくる。この不意打ちは、何度経験してもインパクトがあるだろう。

ただ、今朝までカプリ島の透き通る青を見ていたせいか、「思ったより水が濁っているな……」というのが正直な第一印象だった。


迷宮の街ヴェネツィア、駅からの試練

列車は終点、ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅に滑り込む。

駅構内の物価の高さに驚きつつ、まずは駅前の露店でミネラルウォーターを調達。

ヨーロッパの露店は、こうした小さな買い物でもキャッシュレス決済がスムーズなのが本当にありがたい。

駅を一歩出ると、目の前には巨大な運河と歴史ある街並みが広がる。まさに別世界だ。

最初に出会う「スカルツィ橋」を渡り、対岸のホテルへ。ヴェネツィアは石畳の細い路地と無数の橋で構成されている。

スーツケースを引きずっての移動は想像以上に体力を削られるので、ホテルは駅や水上バスの停留所から近い場所を選ぶのが正解だ。


黄昏のリアルト橋と、迷路散策

チェックインを済ませ、さっそく街の散策へ。

特に目的地は決めていないが、まずは街の象徴「リアルト橋」を目指す。

ヴェネツィアの街は、毛細血管のように張り巡らされた石畳の迷宮だ。Googleマップを頼りに、現在地を確認しながら慎重に進む。

華やかな表通りから一歩裏路地に入れば、そこには生活感漂う静かな時間が流れている。そのギャップがまた面白い。

運河には観光客を乗せたゴンドラが優雅に行き交う。少し惹かれたが、男一人で揺られるのも気恥ずかしく、今回は遠慮しておいた(笑)

やがて到着した「カナル・グランデ(大運河)」に架かるリアルト橋。ここは街随一の撮影スポットだ。人混みを掻き分け、ベストポジションを確保する。

そこから眺める夕暮れの街並みは、現実離れした美しさだった。今回の旅でもベスト3に入る絶景だ。

今こうして写真を見返しても、あの場所に立っていたことが夢だったのではないかという、不思議な浮遊感に包まれる。


衝撃の出会い。アドリア海が凝縮された「漆黒の一皿」

旅の初夜、お目当てはガイドブックでも絶賛されていた「イカスミのパスタ」だ。

ホテルへの帰り道、通り掛かった一軒のレストランに腰を下ろした。

行き交う人々を眺めながら待っていると、ついにその一皿が運ばれてきた。

まず、色の濃さが違う。漆黒と言ってもいいほどの黒さだ。具材のイカも惜しみなくゴロゴロと入っている。

一口食べて、言葉を失った。日本で親しんできたそれとは、明らかに別物なのだ。

とにかくイカの旨みがダイレクト。これだけ大量の墨が使われているためか、まるで「イカのワタ焼き」のような濃厚なコクがある。

それでいて、臭みや雑味は一切なく、驚くほどクリアな後味。

トマトなどは一切使われていない。アドリア海で獲れる新鮮なイカがあってこそ成立する、まさに「ここでしか食べられない味」だった。

心地よい満足感に包まれながらホテルへ戻る。

長旅の疲れもあり、この日は泥のように眠りについた。

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